
わからないこと、わからないんだよ
中は4年生になってから時々女の子が校舎の2階の窓から体を乗り出しているのが見えるようになった。学校へ行きたくない重い気持ちを引きずって、学校に行く。中は”わかんない”と言ってみんなの笑いをかう。胸がくるしくなる。幼友達のセンくんは「真面目でなくなることが夢」と言って、怪しいことを調べたりする。中の両親は別居生活を始めた。パパは家電量販店に勤めていたけれど、自分の生き方に迷い、故郷に戻る。そこは原発ができることに反対していた今は亡い母親の生活場所だった。ママは童話を書きながら小さな地方紙を出しているところに勤めている。中の「わかんない」という気持ちを一番わからないのは学校=教師。特に担任は理解しようとしない。今の生活の中でわかっている人はどれくらいいるのだろうか?わかるということはどういうことなのだろうか?作者は子どもの持っている気持ちをいつもしっかりと見ている作品が多い。現代の日本の作家では数少ない書き手だ。子どもたちの意見を聞いてみたい。
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『わたし、わかんない」岩瀬成子 講談社 本体1400円(税別)