
サラマンダーの見た夢
コロンは学園をやめようと決心したが、その矢先突然実習が入る。着いたのは19世紀末のロンドンだ。1898年のロンドンミッションはシャーロック・ホームズを探せ。テムズ川の南岸準男爵のお屋敷に泊まり女学院に潜入、あれよあれよという間に火蜥蜴城にたどり着く。そこまでが前作5巻までだった。一、四、二、三班の順でウエハースが着いていた発電城の立ち並ぶ並行世界の大英帝国、まず私の世代が学んだイギリスとはあまりにも違う。まさに大英帝国なのだ。コロンたちが対峙した英国は陰謀渦巻く、まさに植民地を従えて世界に君臨しようとしていた大英国なのだ。物語はすごいスピードで進んで行く。ゆっくり考えながら読んでいく物語とは違う。ドキドキして読んでは見たけれど、正直くたびれ、現実の自分が突きつけられた。作者はこんな物語も書くのだと改めて思う。最後にはコロンたちは学園に帰る。大円団で物語は終わるが7巻に続く。子どもたちの感想を聞いてみたい。いや、続きを読むつもりがなければこれでザ・エンド!私は次作も読むだろうが。
「私立探検家学園6 火蜥蜴の見た夢」斉藤倫 著 桑原太矩 画
福音館書店刊 本体1400円

ブレイクの絵で
以前違う絵で出版されていたのだけれど(絵本版)今度コレクションの中に出版された。もちろんブレイクの絵で読み物として。前はそれはそれで良いのだけれど、ブレイクのファンとしては嬉しい。「リトル・ビリー、いま、なにをしてるの?」「ぼく、いい子にしてるよ」ママとのこのやりとり、
なんど聞いても笑ってしまう。そうビリーはいい子にしてる、でも行ってはいけないあやまちの森に行く。そこで出会った怪物、でも小さい人に助けられた。鳥はみんな友だち。ドキドキする冒険だけれどどこか愉快で、楽しい。ダールの本はみんなそうだ。奇想天外のことが次々と起こるけれど、恐くはない。テンポよく進むなか、引き込まれてどんどん読めてしまう。高学年の子どもに是非おすすすめ、退屈している暇はないぞ。ゲームよりおもしろいぞ。
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「ビリーと森のミンピン」ロアルド・ダール
ウェンティン・ブレイク絵 おぐらあゆみ 訳
評論社刊 本体1100円+税10%

ネパール・ヒマラヤの昔話
あるところに優しくて人の良い花売りセンパチュンチュンがいました。ある時、欲張りのハンバチェンに騙されて崖の下に花がいっぱい咲いているからと言われ崖下に置いていかれてしまいました。やっとよじ登って家に行ってみると何もかもハンバチェンに持っていかれてしまっていました。仕方がないのでケサル神を祀っている古い社に泊まっていると夜中に獣たちが入ってきていろいろな話をします。トラが言います。王子の声が突然出なくなった、治すには城中の花の露を集めて飲ませるといい。次々に獣たちの語る話をそっと聞いていたセンパチュンチュンは夜があけてくるとその聞いた話の通りにします。こほうびをもらって家に帰っていくと、待ち構えていたハンバチェンに話してしまいます。聞いたハンバチェンが同じように社で動物たちを待ちかまえていると雷がなって、打たれたハンバチェンは死んでしまいます。心優しい善人は神様は知っていてちゃんと良きようにしてくれる、よくある話です。それにしても人の言葉を話すことができる獣たちは何を表すのでしょうか。ネパールで住んだことがある作者の再話、優しい文体と絵が素朴なお話を引き立てています。
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「花売りセンパチユンチュン」ネパールとヒマラヤのむかしはなし
茂市久美子 文 アヤ井アキコ 絵
BL出版刊 本体1800円+税

パパ、トラだよ!そんなことないよ。あそこにトラの尻尾が見えるよ。つり革につかまっているのは、どう見たってトラの前足!そんことないよ。あれは手袋だよ。電車は満員です。やっと席が空きパパは座りました。ペニーはパパの膝の上です。人間のふりをしたトラはペニーの隣に座りました。ほら足!やっぱりトラです。ペニーとパパのすれ違いは最後まで。男の子がぬいぐるみを落としてトラが拾って男の子のところに。ペニーはトラを褒めるとトラは大きな声で返事をしました。でもパパはやっぱ
りトラはいないと言います。大人と子どもの見るもの感じるものが違う、コミカルにそれは進みます。どうしてなのでしょうか?絵が動きもあってとっても良い。楽しい絵本です。
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「ほら、トラがいる!」フィリップ・アーダ/文
ディヴィッド・メリング/絵 なかがわちひろ/訳
BL出版刊 本体1800円

かくれんほ かくれんぼ
パパかくれんぼしよう。パパは柴犬です。こども、たろうがパパに言って元気に隠れます。どこかな?どこにいるのかな?ふわふわどうぶつたちに隠れます。画家の絵はとても素朴です。現代は変に可愛く?したり、イラスト万能の絵が多い中で、犬のパパと子犬のたろうのかくれんぼは、出てくる動物たちがありのままにかけていて幼いこどもの絵本でとても良い。言葉も短く動物の対話式の表現にあっているのが嬉しい。
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「ふわふわ どうぶつ かくれんぼ」
村田夏佳 アリス館刊 本体1100円+税

どろだんご 作ろう
はるくんがどろだんごをつくっります。どろだんごはただどろを固めてもできません。
あぁ!割れてしまった。ぐずぐずになってしまった。すると割れたどろだんごの中から変なものが出てきました。名前はどろっちょと言うのだって。どろっちょが歌うとあら!だんだんとどろだんごができました。どろっちょの歌は楽しい、どろっちょたちと歌っているうちにどろだんごができた。

ところで覚えている人もいるかもしれないけれど、以前どろだんご作りがちょっとブームになったことがあった。その時によく読まれた絵本がある。どろだんご。テカテカした素晴らしいどろだんごを作ったこどももいた。コロナ以後こんな遊びができなくなったのは残念だ。人はなぜか土に対しての執着がある。やがて土に帰るからだろうか。お天気の時、どろだんごを作ってみようか。
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「どろんこ どろっちょ」こどものとも 年中向き 5月号
さく/こさかまさみ え/はまざし かなえ 福音館書店刊 本体418円+税10%
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「どろだんご」たなかよしゆき 野坂勇 作 福音館書店刊
本体900円+税10%