新刊のおたより(5月)


 キューは多摩動物園にいるオスのオランウータンです。1970年の夏、横浜港に来た外国船の中で発見されました。密猟者によって運ばれてきたと思われます。そして多摩動物園にその頃おそらく2歳〜4歳くらいだと思われていて、それからずっとここで暮らしています。日本にいるオランウータンはほとんどが日本の動物園で生まれそだっていますがキューは違います。キューの故郷は遠いボルネオです。その熱帯雨林の国、ボルネオの様子が描かれています。作者はキューを育て、今は環境保全活動をしています。私たちとは直接あまり関わりのないように思えるボルネオの熱帯雨林、そこは地球の温暖化と乱開発のことで今消えてなくなりそうになっています。キューというオランウータンを通じて考えていこうという本です。写真がいっぱい、たくさんの動物たちのことが載っています。キューの哲学的な威厳のある表情、キューを通して私たちはもっと関心を持ち、するべきことを考えなければいけないのです。
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  「キューのふるさとはボルネオの森」 黒鳥英俊 文
  横塚眞己人 写真・構成 偕成社刊 本体1600円+税

いいこといっぱい
 ダニエルはおじいちゃんになにかいいことあった?と尋ねられて、公園に探しに行きました。まずお気に入りの岩に登り岩に聞きます。なにかいいことあった?特にいいことはなかったな、わしは100万年もの間ここにいる。ずっとお日様の光を浴びているんだ。お前はどうじゃ。口笛が吹けるようになったよ、得意そうなダニエル。こんな調子でダニエルはみんなに聞いて回ります。いろいろな答えがあります。ダニエルも答えます。それにいろいろの発見があります。そうです、ダニエルは大きくなったのです。子どもの弾んだ声、おじいちゃんのダニエルの成長を喜ぶ返事、読者も一緒にいいことを探します。コラージュの絵が喜びに満ちています。あなたもいいことを探してみましょう。暖かい心がいっぱいになる絵本です。
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「なにかいいことあった?」ミーシャ・アーチャー
  石津ちひろ 訳 BL出版刊 本体1700円+税

こうじょうちょう?
 失礼だけれどどう見てもこのこうじょうちょうはそうじきみたいだよ。そしてこのこうじょうちょうはピーナツが大好き。おまけにお腹いっぱいに食べると居眠りする癖があるのだ。だからそうじきとして売られてしまった。でも本人は居眠りしていて気が付かない。買った人が変だと思って修理工場に持ち込んでやっと目が覚めた工場長。なんともおかしいお話だ。アハハ!ゆかいゆかい。
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「そうじきにまちがえられたそうじきこうじょうのこうじょうちょう」 
 へんみあやか 作 こどものとも6月号
 福音館書店刊 本体418円+税10%

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