新刊のおたより(6月)


吃音の少女の物語
 ワイルドオークの森に一台の車が止まり、男が何物かを引きずり出してそれをぶちまけると車は走りさってしまいました。車から降ろされたのは動物のユキヒョウ。買われたのだけれど、買った人は何も知らない、やがて持て余して、返されたが、誰も引き取り手はいない、そして森に連れてこられて捨てられた。一方、マギーは吃音のある子ども、両親の心配からとりあえず、祖父のところで過ごすことになる。それでも治る兆候がなければ、学校に行くということだけれどマギーは行きたくなかった。
マギーは生き物が大好き、密かに自室で飼って世話をしている。祖父のところに行けばそれらとも一緒にいられなくなる、でも仕方がないので、祖父の住んでいるワイルドオークの森に行くことになった。ある日その森で一匹の動物が罠にかかっているのをみつけて助け出す。マギーとユキヒョウ、ランバスの出会いだ、物語はマギーの思いとランバスの思いが交互に描かれている。ランバスとマギーは交流できるようになるが、このままの状態で隠すことはできない。近隣の住民、特に地主たちが騒ぎだし、マギー自身帰って、治らないので行きたくないところにいかなければならない時が迫ってきている。両親が来る日、騒ぎ出した住民を前に、マギーは吃音のまま、皆の前で勇気を出し、自分の全てをかけランバスを助けるために大演説?をする。マギーの祖父フレッドの存在、描写がとても良い。ワイルドオークの森でマギーとランバスの存在がしっかり描写されていてその中でマキーが成長していくのがよく書かれている。最後のその後のマギーのスピーチで自然保護について知りたい人に,ネットのアドレス、また吃音の人についても知りたい人悩んでいる人にネットのアドレスが書かれているのでぜひ開けてみることを勧める。
「すすべては、わたしたちのこっ行動にか、かっています。わたしたちのこっ声には意味があります。わたしたちは自・・・分声をつ、つかか、使わないといけないのです。P306」
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「森のユキヒョウ」C・C・ハリントン作 中野怜奈 訳
岩波書店刊 本体2000円+税

なつになったかなぁ?
 少し雨模様かなと思うまもなく、日差しが強くなって熱中症の心配をしなければならないようになった。以前出されていた春に続いて月刊誌だけれど夏バージョンが出た。表紙からもわかるように夏のいろいろが描かれている。お父さんと散歩しながらそれらをみつけていく。数を数えていくのがシリーズの楽しみになっている。田んぼでみつけたトンボが1、そして真っ白な鳥が2羽、草むらにはイモムシ、
池には亀、いくつかなという問いかけの中に夏の自然が描かれている。最後には蝉、”数え切れないよ”
数の勉強ではない。でも、いつも見られたおなじみの数々、残念ながらほとんど身近に見ることができなくなった。数を数えながらゆっくり読んでみよう。そして、まだお父さんの年齢なら見たことも知っていることも多いと思う。関東地方はまだというけれど梅雨明けも近いという。
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「なつにみつけたいいものいくつ?」ちいさなかがくのとも
7月号 おおたぐろ まり さく 福音館書店刊 本体418円+税10%

きいろいバスの一生
 僕がいつも散歩をしている森の奥にポツンと黄色いバスがおいてあったのにであった。僕はバスを見ながら物語を紡いだ。そして、この黄色いバスを主人公にして絵本を描こうと思った。模型を作っていくうちに物語はどんどん膨らんでいった。きいろいバスは初めはスクールバスだった。毎日子どもたちを乗せて走った。新しい運転手が来ると老人たちが乗り込んできた。時は流れて誰も乗らないきいろいバスは空っぽだ。寒い時は家のない人たちが肩を寄せ合い、ヤギたちの遊び場にもなった。賑やかだった。やがて時が流れ、バスに乗る人は誰もいなくなってしまった。ある日のこと、川が氾濫してとうとうきいろいバスは川底に沈んでしまった。すると魚たちが川底からあっまってきた。きいろいバスはもう寂しくない。白黒にダイナミックに描かれた背景にバスに乗った者たちがカラーで描かれている。バスの喜びがいっぱいだ。大きな川にきいろいバスが少し見える。とてもきいろい色が印象的だ。黄色は太陽の色。喜びにあふれた色だ。
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「きいろいバス」作ローレン・ロング 訳林 木林
 あすなろ書房刊 本体1800円+税

塩はどこから
 今の私たちは塩、塩分の取りすぎはいけませんと言われます。取りすぎはいけないけれど、塩分を
取らないと身体は動きません。塩はどこにでも転がっているのではなく、日本は海に囲まれているので比較的容易に取ることができますが、外国ではそんなわけにいかなくて金と同じくらい価値がありました。
 この物語はアフリカで岩塩を取り、運んでいた今はマリ共和国のトゥアレグ族の少年の初めての旅の物語です。はこぶのはラクダ、そのラクダを引き連れてサハラ沙漠を横断します。ラクダも日本人には歌や物語の世界です。現代はトラックを使います。沙漠の気候のこと、昼は高温、夜は零下の温度差、(これは前に小林豊さんにアフガニスタンの話を聞いた時にもお聞きしました。)水がない、猛烈な砂嵐のなかを少年は旅に出ます。途中砂嵐でラクダを失いそうになりハラハラしますが。それに塩を運ぶだけでなくいろいろなものも運びます。交易です。無事少年は成し遂げます。ゆっくりページをめくりながら、しばし、はるか外国の少年に思いをはせました。人はこうやって世界の中で生きていったのです。
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「ラクダで塩をはこぶ道」 サハラ沙漠750キロの旅
 エリザベス・ズーノン作 千葉茂樹 訳 あすなろ書房 
 本体1800円+税

笑ってしまった
 かなへびの科学の絵本かと思いきや、これはかなへびでなくとも私の、あなたの話。あなたは長男、長女?それとも・・・・
 上はこうなんだよね。威張りくさっているけれど根は優しい。そこへいくと2番目は親もなれてしまうのかあまり神経質にはならない。慣れたんだから構われないといえばそうだけれど。けっことちゃっかりしていてたくましく実をしっかりとる。きょうだい関係を見ておかしかった。あなたはどっち?中の解説にハナムグリのことが載っていて興味のある人はどうぞ。
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「かなへびのきょうだい」こどものとも7月号
 石森愛彦 さく 福音館書店刊 本体418円+税10%

夏が来た
 関東は今日梅雨入りをしたとか、ここ4日ほど腰が痛くてしかもとうとうダウン、帰り道あと一歩というところで歩けなくなって近くの葛城中学校の先生の手を借りてやっと家にたどり着いた。本当にありがとうございました。後ほどお手紙をお出しします。大丈夫何とかなるとちょっとたかをくくったのが間違いの元、見通しが甘かった。ところで関東も梅雨入りとのこと、梅雨入りと聞けば何と言ってもスイカととうもろこし。スイカではちょっと面白い本が昨年出版されたのでそれはまた、今日は久しぶりの著者の本「とうもろこし」。画家の本はどれを見てもとても美味しそう。このとうもろこしも幼い頃の思い出と一緒になって色々と蘇ってくる。上手に一列につぶを外すとあとは両側のつぶは綺麗に食べられる。なぜか母だけは下手でくしゃくしゃになるとうもろこしは昔の子どものおやつだつた。茹で上がっていて少し塩がふってあって、かごに入っていたのを我先にかぶりついた。もっともあまりお腹の丈夫でなかった私はほどほどだった。甘い?とうもろこしの頭の毛を干して、ハトムギと混ぜてお茶にして飲まされた。その丹念なことをしてくれたのは父だった。カラカラに乾いたとうもろこしの毛、なんだかブツブツ言っていた父の顔を今でも思い出す。画家の野菜のシリーズはともかく上手、絵だけでなく美味しそう!とうもろこしの自給率がひどく悪いとか、もっと食べればいいのに。もぎたてのとうもろこしをかごに入れて街角に売っていないだろうか!

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「みっちりつぶつぶ とうもろこし」いわさ ゆうこ作 童心社刊 本体1200円+税

食べられちゃうの?!
 こねずみくんはおじいちゃんを探しています。どんなに大きな声をあげてもおじいちゃんの返事はありません。しくしく泣き出したこねずみくん。すると上の方でバサバサという音がして見上げるとフクロウがいます。森は真っ暗です。フクロウはきみの悪い鳴き声をあげ、臭いものをぺっと吐き出しました。一緒に食事はどうかと誘います。用心しなければ!でもこねずみくんはおじいちゃんのことが心配でフクロウについて行ってしまいました。そこで引き出しの中に行方不明になっている友達などのものがしまっているのを見つけます。おじいちゃんのメガネ?らしきものもあります。さあ、こねずみくん逃げなくちゃ!でももう遅い!!ドキドキハラハラする物語です。この物語は決してみんな許しあえるというような妥協はありません。自然界の掟、でもその中で精一杯生きていく生き物たちが出てきます。もちろんおじいちゃんは食べられてしまったのですがこねずみは無事家に帰ることができました。
挿絵がたくさん入っていて、読みやすい。ベルギーの物語です。
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「こねずみくん、ききいっぱつ!」ヘルダ・デ・プレーター作
 テー・チヨンキン 絵  鵜木桂 訳 徳間書店刊 本体1800円+税

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