すごいワニ
ワニのほんものを私は見たことはない。不敵な面、とがった歯、鱗とつめ、わぁすごい。このワニはオーストラリア北部、海にそそぐ川に沿ってのマングローブに住んでいるワニ、一見すると写真のようにみえたが、肉感といえこのワニは画家によって描かれていることがわかる。ワニそのものもそうだが、河口からの川のなか、まわりの風景、森、ただリアルでなく、物語がある。縄張りを勝ち取ったオスがメスと交尾する場面、静かな時間までが描かれている。そして、二ヶ月半くらいで誕生した赤ちゃん、小さいながらもワニの面構え。そして、ふたたび乾季、ひとりぼっちで母親のもとを離れていく。生き残ったのは半数にもみたないという。オスは新たな縄張りを求めて海に旅立つという。水を飲みにきた水牛に噛みつきひきずりこむワニ、命のドラマが静かに繰り広げられる。とっても良い本に出会った。
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「イリエワニ」福田雄介 文 関俊一 絵
福音館書店刊 本体2000円+税10%
遊びの絵本
画像をうまくコピーできないのでぼやけてしまったけれど、この本はJALグループの機内誌からつくられた本とのことです。長細い小型な本、「まちがい探し」の絵本です。開くと上の方に女の子を中心に動物たちが旅をする、下のほうには同じ絵でもちょっと違う部分がある、その間違いを探すという構成になっています。これはおもしろい、外出の時に持っていくといいなぁ!と思いました。スマホではちょっとできない本のおもしろさです。一人でもいいし、きょうだいや親子でもわいわいとまちがい探し。動物のイラストも楽しい。欲をいうと世界の各地の旅巡りだけでなく、短い物語性があったら、もっとおもしろいかな。
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「さがして!みつけて!世界で旅あそび」
しんたにともこ 小学館刊 本体1100円+税
あかちゃんのうた
うしろのコメントによるとこれは北海道のわらべうたとのこと、ころころのフレーズが繰り返されるだけ
です。あかちゃんの絵本は耳で聞いてともかく心地良くないとだめです。できればこのフレーズで体をゆっくりゆすったりしてください。
🎵ちっちゃな たまご そーっとだっこ ころころこーろころ おかあさんはやさしくうたいます。
🎵ちっちゃな たまご そーっとだっこ ころころこーろころ あかちゃんにとって良いだけでなく、おか
あさんの気持ちも落ちつきます。みんな忘れて ころころこーろころ。
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「ころころこーろころ」みなみ じゅんこ
のら書店 本体1000円+税
グアテマラのおはなし
古代マヤから伝え継がれている民族衣装<ウィピル>のおはなしです。かあさんに教わってみごとなウィピルを売りに市場に行ったラサ、残念ながら売れません。みずうみでしょんぼりしていると魚が話しかけてきました。それは次の日も続き、ラサは魚と仲良しになりました。そして、明るくなったラサの様子をみた母親が魔物にとりつかれたのではないかと、ラサに湖にいくことを禁止しました。ラサはつらく病気になってしまいます。一方心配した魚は雨の神様に人間にしてくださいとたのみ、ラサに会いにいきます。男は毎日ラサに会いにいきます。このお話はハッピーエンドでおわります。ラサは男がみずうみを恋しがらないように湖と同じ色のウィピルをおるようになったということです。
青がきれいな絵本です。湖と色鮮やかな民族衣装を描きたいという画家の願いから生まれた絵本です。
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「みずうみ色のウィピル」すけのあずさ
BL出版刊 本体1600円+税
みんなでやってみよう
今こそ講演会でもテレビでも手話がつくようになった。けれどまだまだあまり一般的でない。この本はとてもわかりやすく描かれている。ただちょっと何もかにも、聞こえる人も聞こえない人も平仮名、カタカナ、指文字口型、盛りだくさんに描かれている。さっそく私もやってみたけれど著者の思いはわからないでもないが、こんなにたくさんでなくても良いのではないだろうか。日本語は難しいひらがな、カタカナ、漢字とたくさんあってと言われているけれど。あとみんなで共有するのには、一人で学ばないでみんなではどうだろうか。一番良いのは学校で楽しみながら学んでみるのが一番良いのではないだろうか。それから、幼い子どもが言葉を覚えるように「おかあさん」「食べたい」「いたい」「ねむい」とかなるべく生活につながったものからおぼえていったほうがよいのではないだろうか。10月下には2巻目「ともだち」がでるそうだけれど、期待したい。
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「みんなであいうえお」スギヤマ カナヨ:作 手話監修 吉岡昌子
あすなろ書房刊 本体1800円
どこかにある場所
おばあさんの店に小さな人がきました。おばあさんは一人で雑貨屋をやっています。遠く離れた子どもの話
を良くします。でもほんとうはおばあさんには子どもがいません。でも村の人たちは誰もそんなことないでしょうとはいいません。ところがある日、孫?がせっけんをおいて欲しいとやってきます。野ばらの匂いのするすてきなせっけんです。またたくまに大評判、でも補充にくるといった孫がいつまでたってもこないので、おばあさんは思い切って自分の方から出かけて行くことにしました。早世した作者は現実の世界と人間以外の世界をなんなくとびこえてしまう物語を良く書いています。その世界はもう失われてしまって、ある人にのみ現れる世界です。物語の背景も今は失われてしまった世界です。作品のなかでは時には少し恐れをもつような描写がありますが、哀しみもおそれもそのまま肯定されている、心の奥にしまっている、憧れと優しさが描かれている作品が多い。10歳位からの子どもが読むことができる装丁でのシリーズが刊行されました。全部を見ていないので画家の描いた挿絵がどういうものかわかりませんが、この本の高橋和枝の絵はよく雰囲気がでていると思います。
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「遠い野ばらの村」安房直子 文 高橋和枝 絵
あすなろ書房刊 本体1500円+税
いいなあ いいなあ おいしそう
とうもろこしは夏の食べ物、近年野菜の出荷が速くなって、気がついたら旬は終わっていることが多い。スイカもそうだ。どちらも夏の暑さに負けない食べ物だ。しかも庶民、子どもからおとなまでかぶりついて食べられる。とうもろこしは家庭菜園でもできる。ただ、カラスに取られないように。なっちゃんはおばあちゃんの家で、自分でとうもろこしをとった。この嬉しそうな顔いいなあ。金色に光っているとうもろこしはほんとにおいしそうだ。かぶりついて食べよ!おひさまいっぱいのとうもろこしを食べよう!(とうもろこしはお米と麦にならんで食べ物の王様だ。こどもにかえってとうもろこしにかぶりつきたいなぁ。)
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「でてこい でてこい!とうもろこし」ちいさなかがくのとも 7月号
飯野まき さく 福音館書店刊 本体418円+税10%
なわとびするひとよっといで
「なわとびするひとよっといで」と声をかけて遊んだ。また、子どもにかえって遊んでみたい。「すったん
すったん」「おおなみこなみ」「🎶いれて 」とうたいながら。だんだん縄跳びは大きくなって「🎶いれ
て」この絵本はもっと続きがある。3人目でちょっともつれてつぎつぎと困ったことがおきるけれど、いろいろと工夫して、遊んじゃえ!ことばもおもしろい。単純化された子どもたちのようすや表情もおもしろい。
🎶すったん すったん すっ たーん!
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「すったん すったん」おのりえん ぶん はたこうしろう え
こどものとも年中向き7月号
福音館書店刊 本体418円+税10%
もう夏かな、花火だぞ
花火大会では水に映ってきれい。川でも良いし昔、幼い時過ごした街には堀があった。
堀の水に映った花火、きれいだったなぁ。ところが夫の実家にいった時、山の中で花火大会があったのにはびっくりした。ちょっと開けたところで立ち木と立ち木の間でのしかけ花火、山というかちょっと小高い丘のようなところでのしかけ花火、驚くというより知恵と楽しんでいる風情にすっかり感心した。今の花火大会はあの人出で風情もなにもあったものではないと行かない、近くのちょっと小高いところから見ているだけで満足してしまっている。この絵本は海も川も森もみんな動物たちが花火大会を見ている。そのようすがちょっとおかしい。その中を花火の音がいろいろと響く。夜空の花火はとてもきれいだ。しゅる しゅる しゅる ドーン
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「こんやは はなびたいかい」 きしだえりこ さく あべはるえ え
福音館書店 本体1000円➕税10%
にがてな数学
すうがくはにがてだ。昔、今でいう入学時検診で菱形がわからなかった。それ以来数学は取り付きにくい。友人にいわせるとちゃんと答えがでるからいいのだと。でも面白くないとずっとおもっていた。作者のこの本が出たときにびっくりした。作者は植物の本で店でも人気がある。えっ!数学・・・帯によると「年をとるとなぜ1年すぎるのが速く感じられるの?」なぜだろう。これはウェーバーの法則で数学的に説明されているそうだ。けれどそれはある人によってはそうだけれど、他の人ではそうでないのはどうしてか。そのことにはふれていない。ただ、数学エッセイと記しているようになかなかおもしろいものも多い。見開き1Pに作者独特のきれいなカットが十分に描かれているのも楽しい。難しいなどといわないでお茶でも飲みながゆっくり読んでみたい。
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「すうがくさんぽ」前田まゆみ
あすなろ書房刊 本体1500円