椿


 今年の春は寒暖の差が激しくて、この2日ばかりで桜が咲いた。日本列島を花だらけにしていくことだろう。ちょっと気をかけていないうちに椿の花は散り始めている。椿の花の時期になると祖母のことを思い出す。私の父とは血のつながりはない。祖父母には子どもがいない。父は本家の跡取りとして、分家から産みの母親も育ての母親にも一言の話がなく男達が決めたことだという。祖母は父のことを可愛がって、頑張って姑につかえた。残念ながら祖父母のなかは孫の私からみてもあまり良くなかった。私はとてもかわいがられた。椿の花は首から落ちるから武士の家では植えないと言っていた祖母を思い出す。小さな没落地主の家に育った、武士の家ということで結婚したという祖母、どれくらい理解してしていたかはわからないが新聞を読んでいた姿を思い出す。

   綾取りの小指にのこる落椿
            福田 基


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