空はみんなのものだよね
空はみなのものだよね。ぼくのもの、ともだちのもの、ぼくのいぬのもの、空はみんなつながって、みんなみんなつながって、みんなのものだよね。それなのに私だけのものという人がいる。ちがうよね。
空はみんなのもの、どこまでもどこまでもつながって空はみんなのもの。嬉しい時も、悲しい時も空はいつでもみんなに続いている。どこまでも、どこまでも。空はみんなのものだよね。
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「空はみんなのもの」ジャンニ・ロダーリ・文
荒井良二・絵 関口英子・訳
ほるぷ出版刊 本体1700円+税
よろこびの日
もりのはずれの大きなモミの木の側に、鳥が落としていって芽をだした小さなモミの木がありました。繰り返し7年たって、少し大きくなりました。ある日、男の人がそのモミの木を丁寧に掘り、家に持って帰り歩けない子どもの枕元に飾りました。クリスマスです。側でクリスマスの歌をうたいます。終わると、もみの木は森に返され木々が風に歌い、またクリスマスの時になるとちいさなモミの木は掘り返され、歩けない子どもの枕元に飾られます。繰り返されて、もみの木も少しずつ大きくなりました。ところがある冬、男の人は現れませんでした。どうしたのでしょうか。雪が降ってきます。静かなクリスマスの喜びの絵本です。クリマスキャロルが楽譜付ではいっています。
おー クリスマスツリー
おー クリスマスツリー
みどりのきよ とわに
1954年クニーによって描かれたアメリカの絵本です。
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「ちいさなもみのき」マーガレット・ワイズ・ブラウン
バーバラ・クーニー え かみじょう ゆみこ やく
福音館書店刊 本体1100円
あといくつ寝るとクリスマス
今年はクリスマスの本の新刊が不調だ。不景気のなせる技、本離れ、いろいろ原因はあるけれど・
・・。クリスマスも多様化してきたかもしれない、それはともあれ、なにも新刊でなくとも良いのだ。この本は2011年12月に月刊誌ででたものだ。そして2021年に3刷りになっている。リサのところにいるお人形ピッキ、暮れ近く買い物につれていったのに、落っことされてしまう、お人形(木の人形)ピッキの冒険です。車にはねられて足を折ってしまって、リサの家を探すこともできないピッキ。でも大丈夫。白いひげのおじいさんに助けられて足も直してもらいます。白いひげのおじいさんはサンタさんなのです。もちろんソリにのせてもらって、家に帰れました。それにしてもリサは探さない、そんなのないよ!まあ、めでたしめでたしなのだから、それでいいよね。そりに乗せてもらうピッキとそりの走る夜空がきれいです。裏表紙に書かれているリサの手紙、サンタさんに届くまでもなく、良かったね!
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「ピッキのクリスマス」小西英子 作
福音館書店刊 本体900円+税10%
カラスとの友情?物語
カラスとこんなに濃い友情に結ばれるとは・・でもありうること。カラスは嫌われる鳥だけれども、人なつっこい鳥でもある。この舞台は1950年代後半のイギリスロンドン、ミック少年は怪我をしていたニシキコクマルガラスのひなを拾って育てます。名付けてジャック、最初は食べ物を食べることから、そして飛び方。やがて地域の人気者になります。野生の鳥は群れに返さなくてはだめと思ってやっと放すと家に帰ってこない。けれど、考えられないほど遠くから帰ってきてすっかり人気ものになった。この物語はたんなる動物好きの少年の物語ではない。のちに動物園の主任飼育員となった少年ミックの青春物語だ。1950年代といえば戦争が終わったばかり、あちこちに戦争のつめあとが残っている。ミックの父もそのひとりだ。英雄と思いたいミックの心もジャックとの生活のなかで思うことや悩むことが多い。それは大人になっていった少年の心の軌道だ。ジャックは森に帰らなかった。ミックの心のなかにたくさんの思いを残して。私も昔、巣から落ちて猫がくわえてえてきた、スズメの雛を2年間育てたことがあった。とどのつまり野生に帰らないで死なせてしまった。それから野生のものは飼わない。にがい思い出だ。この本は一人の少年と動物をとおして、歴史にふれる物語でもある。
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「森に帰らなかったカラス」ジーン・ウィリス作
山崎美紀 訳 徳間書店刊 本体1600円+税
おせちのいろいろ
もういくつねるとお正月。おとなになると12月はとにかく気ぜわしい。毎日の宣伝はおせちとお掃除、
おせちは高い!この本は去年雑誌こどものともででた。すぐにたいへんな評判になって、460円の雑誌がいっとき8000円もしたとか。今年、それがハードカバーの本になって出版された。そして、またしても昨年ほどではないけれど、即重版。なんだかげんなりしてしまった。そのことは別としてともかくきれいな絵本だ。お重のなかのいろいろなものがリズムカルな言葉で説明。目で食べる本になった。
ところが1月号のたくさんのふしぎもおせちだ。こっちの本は小学校3年生のあっちゃんがおせちといってもその中の大好きな栗きんとん作りに挑戦する1年間の日記だ。いわば食べる本になっている。それだけでない。あっちゃんが住んでいる信州伊那谷の農家の1年間の様子が書かれている。「おせち」のようにきれいではないけれど、素朴な絵で私にはおいしそうに思えた。我が家のおせち、今は食べない。つくらない。お正月は
時間にしばられないで、のんびりと過ごす。ふつうの食事をする。幼い頃、祖父母も含めて6人家族だった。お
正月はお餅をきる、大掃除、祖母と母は台所でお正月のごちそうをづくり私と弟は父のそうじの手伝いをしたり、数の子をちょっとつまんだり(すごく安かった)できあがった料理をお重につめながらおふろにはいって神棚におまいりして年越しの料理を食べた(大晦日に料理を食べた)もちろんその時お膳におかれていたお年玉がなんといってもうれしい。外は雪が積もっているので、神社に初詣はいかない。静かな大みそか。だから我が家は手作りのおせちで「おせち」でもなく「あっちゃんのおせち」でもない。祖父も父もお酒を飲まない人、お正月らしいといえば、お重のなかのおせちとひとりひとり紋のついた食器をつかったことだろうか。静かだけれど華やかな年越しだった。遠くで除夜の鐘の音。雪のなかで聞こえる。
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「おせち」文・絵 内田育美 料理 満留邦子 監修三浦康子
福音館書店刊 本体1000円+税10%
「あっちゃんのおせち日記」たくさんのふしぎ1月号
さげさかのりこ 文・絵 福音館書店刊 本体736円+税10%
ねこのとらまるますます活躍
ねこのとらまるは山の動物たちのお医者さんです。ねこのとらまるって何者?すでに2冊読んできた人はおなじみです。まちの動物病院で暮らしている人は夜になって閉院になるとねこのとらまるがおいしゃさんになり、患者さんがやってきます。もちろん患者は山の動物たちです。今夜は最後にやってきたのは牛のクララです。なんとクララはハサミを食べてしまったのだそうです。レントゲンをとったらたしかにあります。手術はいやだと鳴くので磁石を飲んでそれで取り出そうとしました。ところがうまくいくと思ったのにあと少しではずれてしまいました。さあ!どうしよう。ねこのとらまると動物たちが力をあわせて。大丈夫でした。
作者は絵も描いています。ユーモアがあり楽しい幼年向けのお話です。ひとりでもよめます。もちろん大人に読んでもらっても。おとなも楽しめます。
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「くいしんぼうのクララ やまの動物病院3」
なかがわちひろ作・絵 徳間書店刊 本体1700円+税